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JCA-NETが加盟している進歩的コミュニケーション協会(APC)の声明を訳して掲載します。
(APC)パレスチナとレバノンの民間人に対する通信テクノロジーの武器化を非難する
進歩的コミュニケーション協会
2024年10月3日|更新 2024年10月4日
ガザで行われた残虐行為に対する説明責任の欠如は、通信テクノロジーやインフラを悪意を持って使用することで、地域全体の民間人に対する更なる侵略への道を開いている。パレスチナでもレバノンでも、テクノロジーの兵器化が新たな抑圧を助長し、すでに過酷な生活を強いられている人々の苦しみをさらに増大させている。
アムネスティ・インターナショナルのデータによれば、ガザのパレスチナの人々は11ヶ月間で4万1千人以上が殺され、9万5千人近くの人々が負傷し、その中には数千人の後遺症が残された人々も含まれている。避難生活と非人道的な生活環境は目に余るものがある。暴力と苦しみは絶え間なく続いており、レバノンを標的にした最近の攻撃によって、今やこの地域全体にまで広がっている。レバノン南部でのイスラエルの空爆は、1日で500人以上の人々を死亡させ、多くの人々が家を追われた。パレスチナとレバノンの民間人に対する攻撃は直ちに停止されなければならず、完全かつ無条件の停戦が緊急に実施しなければならない。
最近のレバノンでの攻撃では、9歳の少女を含む少なくとも9人が死亡し、2,700人以上が負傷した。市民社会グループがはっきりと「民間人を恐怖に陥れ、危害を加えようとする試み」と見なしている方向へと向っていることを示している。
APCのメンバーである7amlehは、イスラエルがジェノサイドを正当化するために憎悪に満ちた言説や偽情報キャンペーンを使って反パレスチナの物語を作り上げてきたことを明らかにしている。2023年10月7日から2024年9月までの間に、MetaやXなどの主要プラットフォーム上でのデジタル検閲や有害コンテンツの拡散が5,100件報告されている。
パレスチナ人に対する集団処罰を正当化し、人道支援活動を妨げるために言論が武器化される一方で、オンラインプラットフォームはパレスチナ人の声を検閲しつつ広告での収入を介して有害コンテンツから金銭的利益を得ている。7amlehの報告では、Facebookが個人に対する暗殺を扇動し、パレスチナ人を西岸地区からヨルダンへ強制追放することを主張するターゲット広告を掲載していることが明らかになっている。
ソーシャルメディア・プラットフォームは、ガザの状況を報道するコンテンツや、世界中の学生やその他のグループによる抗議行動をシャドーバンニング[意図的にアクセスしづらい状態にすること]することで、憎悪を広めることに加担してきた。Business & Human Rights Resource Centre(ビジネスと人権リソースセンター)の調査によると、「紛争における虐待の一因としてソーシャルメディアが果たした役割に関する複数の報告gaaruにもかかわらず、調査対象となったソーシャルメディア企業7社のうち、2023年10月7日以降に誤情報、ヘイトスピーチ、暴力の扇動に対処するために取られた対策について詳細を提供したのはTikTokとMetaのみであった 」と結論付けている。
SMEXはまた、インターネットと無線通信の遮断がイスラエルによって違法な戦争戦術として展開され、何百万人ものガザ住民に影響を与え、イスラエル軍による激しい砲撃に耐えて、水、食料、燃料、医薬品がほとんどない完全な包囲下に置かれたまま、苦しい状況を悪化させていると報じている。
ガザでの残虐行為に対するイスラエルの説明責任の欠如は、レバノンの民間人にも影響を与えており、通信デバイスやインフラを使用して行われた攻撃によって、その侵略を地域に広げる白紙委任状をイスラエルに与えた。9月にレバノンでポケットベルとトランシーバーが爆発し、子どもを含む少なくとも37人が死亡、数千人が負傷した。報道によると、この攻撃はイスラエルの諜報機関、モサドとイスラエル軍の共同作戦の結果だという。
通信デバイスを爆弾として使用することが危険で悪質な前例となり、ハイテクを駆使したテロの新たなパターンを助長しかねず、こうしたデバイスを所有する者だけでなく、爆破時に周囲にいた人々をも標的にすることになる。アムネスティ・インターナショナルが指摘するように、「日常的に使用されている通信機器に隠された爆発装置をこのような規模の致命的な攻撃を行うために使用された前例がない」ことであり、人道規範に対する明らかな違反である。国連人権委員のフォルカー・タークも、「国際人道法は、爆発物を仕込むために特別に設計・構築された、一見無害に見える携帯用の物体の形をしたブービートラップ・デバイスを使用することを禁じている」と述べている。
ここ数日、レバノンの通信インフラもハッキングされ、脅迫メッセージの送信に使用されている。恐怖を広め、混乱を促進するために情報通信テクノロジー(ICT)を使用する戦術はさらに拡大している。SMEXはまた、WhatsApp上の偽の立ち退き要求や、避難民のための支援プラットフォームを偽装したフィッシングリンクなど、レバノンの人々を標的としたテキストメッセージ、スポンサー広告、その他の誤解を招く情報の存在を記録している。
顔認識テクノロジーと監視は、イスラエルによる占領地のパレスチナ人に対する広範かつ継続的な支配と抑圧の一部となっており、すでに何年も前から行われているが、メディアの報道は、この1年でその使用が増加したと報じている。たとえばヘブロンでは、検問所が顔認識テクノロジーを採用し、市内を移動する人々の生体情報を記録している。このようなデータベースやツールは、もっぱらパレスチナ人のデータを記録し、居住区やその他の場所への出入りの資格を決定するために使用され、パレスチナ人の基本的なサービスや権利へのアクセスに影響を与える恣意的な移動制限の広範なシステムのツールとして機能している。例えば、医療、雇用、教育へのアクセスや、平和的集会の自由を行使する力の低下などがみられる。このテクノロジーは、イスラエルの人工知能を駆使した戦争にも採用されており、ほとんど人間の介入なしに民間人を無差別に標的にすることにつながっている。
最近のHuman Rights Watchの報告でも、イスラエル軍がガザで攻撃目標を決定するために監視テクノロジー、人工知能(AI)、その他のデジタルツールを使用しており、これらのツールの設計と使用の両方に問題があるために「民間人のリスクを悪化させている可能性があり、重大な倫理的、法的、人道的懸念を提起している」と指摘している。
パレスチナとレバノンにおける抑圧と暴力のためのテクノロジーのこれらすべての歪曲と悪用は、人間の尊厳をあからさまに侵害し、人権基準と国際人道法を完全に無視している。
平和と安全保障問題におけるグローバル・ガバナンスの決定的なギャップと失敗は、パレスチナをはじめとする世界各地で進行中のジェノサイドと、民間人の命に対する比類なき破壊によって明らかになった。国連が新たなグローバル・デジタル・コンパクトを採択し、「すべての人々のために、オープンで自由、安全で人間中心のデジタルの未来を推進するための原則、目標、行動を概説する」ために取り組む一方で、デジタルテクノロジーは罪のない人々の殺害や戦争に使用されているのだ。
2024年1月、国際司法裁判所(ICJ)はイスラエルに対し、ガザのパレスチナ人を保護するための6つの仮保全措置の実施を命じた。ICJは7月、イスラエルによる数十年にわたるパレスチナ領土の占領と併合は、国際人道法の基本的要素に違反し、パレスチナ人の人権を否定するものであるため、違法であると結論づける歴史的な勧告的意見を発表した。ICJによれば、イスラエルにはパレスチナ占領地における不法な占拠を終わらせる義務があるとした。しかし、このような勧告は完全に無視されている。
この憂慮すべき状況に鑑み、私たちは次のことを要求する。
- 民間人に対する無差別攻撃、民間地域におけるデジタルデバイスの武器化、ソーシャルメディア・プラットフォームにおける差別的ポリシーと慣行の即時停止。
- イスラエルは、民間人を殺害し、テクノロジーを駆使した恐怖と混乱を広めるために、通信デバイスを使用することを直ちにやめること。
- パレスチナにおける大量のバイオメトリック監視をやめること。
- パレスチナ人やパレスチナの人権擁護活動家に対する意図的な差別的ポリシーや慣行を直ちに停止すること。私たちは、メンバー団体の7amlehとともに、「イスラエル/パレスチナの個人的・集団的デジタルの権利に対するプラットフォームのコンテンツモデレーションとキュレーションの決定の妥当性評価のために繰り返し包括的で透明性のある適正評価」を求める。
- 直ちに人道支援と保護を行うこと。 緊張と不安定が高まる中、犠牲者の数が増え続けているため、私たちは加盟国に対し、犠牲者への医療や支援を含む国際的支援を直ちに提供するよう要求する。
- ガザ地区の通信サービスの完全復旧も急務である。インターネット遮断を戦争の武器として使用してはならない。レバノンでのアクセス状況について、私たちはメンバーのSMEXとともに、レバノン当局は被災地や避難所の人々に通信アクセスを提供するよう求める。
- 早急な国際調査。国連は、通信デバイスの改ざんについて、迅速かつ効果的で徹底的な公平かつ透明性のある調査を緊急に実施し、責任を負う者が裁判にかけられるようにしなければならない。
- 即時停戦と説明責任メカニズム。国際社会は、民間人に対する暴力行為の加害者の責任を追及するために、慎重に的を絞った制裁から法的手続きまで、あらゆる手段を使用しなければならない。
- 各国は、国際司法裁判所が2024年7月に出した勧告的意見を承認し、イスラエルに対し、パレスチナ占領地における不法な存在を終わらせる義務を遵守するよう求める。
- 各国は、イスラエルに対し、パレスチナ占領地における不法な存在とポリシーを12カ月以内に終わらせるよう求める2024年9月の国連総会決議に従うこと。
画像 「Free Palestine/ Anti-Israel protest」 by Can Pac Swire used under CC BY-SA 2.0 license (https://flic.kr/p/2pDrASJ).